インリバのブログ

internaReberty PROJECT(虐待当事者3人の発信や対話を目的としたグループ、インタナリバティプロジェクト)のブログです。特定の企業や宗教団体とのつながりは一切ありません。

初のインリバ主催イベントでした。

 

 こんにちは。インリバのサクラです。

 

 昨日(11月10日)は、初のインリバ主催イベント、

『子供は親を選べない~虐待の家に生まれて~』でした。

 

 

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 今回のイベントは、定員100名様でお申し込みを受け付けていました。

正直なところ『そんなに多くの方々に来ていただけるかなあ?』と不安でしたが、当日はこんなにたくさんの方々に参加していただきました。

 

 プログラムの最初のテーマは、

『DV家庭で育った心の傷~それでもあなたは許しますか?~』について、インリバメンバーがリレー形式で、それぞれの生い立ちや親に対する思いなどをお話させていただきました。

 

 今まで、活動の場で生い立ちについてお話する機会は何度もありましたが、『虐待』だけではなく『DV』という視点が加わると、新たな気づきがたくさんあり、今回のイベントで初めて語る内容もありました。

 

 そして、ゲストの吉祥眞佐緒さんがDVについてとても分かりやすく説明して下さいました。

 目黒や野田の虐待事件では、子供への虐待だけでなく、父親から母親へのDVについても報道されていました。

 吉祥さんのお話を聞いて、虐待とDVの問題は別物ではなく、関連性があることを前提に考えていくことが大切だと思いました。

 

 次のトークセッションは、

『被害と加害 行ったり来たり』がテーマでした。

 このトークセッションでは、私達インリバメンバーが虐待を受けた身でありながら、一方で周りの人に対して攻撃的になったり、加害的な言動をしてしまったエピソードをお話させていただきました。

 

 吉祥さんからも、被害を受けている人が加害する側に転じることについてのお話があり、自分が過去にしていた振る舞いと重なるところがありました。

 

 そして最後は、イベントに参加して下さった皆様と一緒に

グループワークをしました。

 『虐待をなくすためにはどうしたらいいか?』

 『今日からできる自分なりの支援は?』

について、意見を出し合いました。

 

 予定では、10人くらいのグループを作ってワークしていただく予定でしたが、イベントに参加して下さった方が多かったこともあり、急遽、5~6人のグループで意見交換をしていただきました。

 インリバメンバーもグループの中に入れていただきました!

 色んな方々の意見を聞くことは、新たな気づきがたくさんあって、とても勉強になりましたし、楽しかったです!

 『もっと色々お話したいなあ』と思っている中で時間いっぱいとなってしまいました。

 どのグループもアイデアがいっぱい出ていたようですね。

 発表でも内容盛りだくさんでした!

 

 『虐待をなくす』ことは、残念ながら簡単ではなく、すぐに実現できることではないと思います。

 でも、今回のように虐待やDVのことを身近なことと捉え、考えることはとても重要なことだと思います。

 『支援』というと、何かを立ち上げないといけないと感じたり、ハードルが高いと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、自分が生活をしている中で、気負わずにできることが支援になることもあると思います。

 

 今回のイベントを通して、参加して下さった皆様それぞれが、感じたこと、考えたことを持ち帰り、今日からできる支援につながっていけば嬉しいです。

 

 イベント後には、限られた時間ではありましたが、交流会もありました。

こちらは、人数にも限りがあったため、希望されていたのに参加できなかった皆様、申し訳ありませんでした。

 

 また、昨日はイベントの会場内で、写真家の長谷川美祈さんの写真展も同時開催していました。

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 私達インリバの結成のきっかけとなった写真集『Internal Notebook』の写真を展示して下さっていました。

 インリバの講演の場で、これまでにも長谷川さんは写真展を開催して下さっていますが、展示の仕方が毎回変わっていて、『その時、その場所でしか観られない写真展』になっています!

 私が会場入りをした時には、既に写真展の設営がほぼ終わっていました。

 長谷川さん、いつも本当にありがとうございます!

 朝早くから長谷川さんと一緒に準備をして下さったボランティアの皆様も、ありがとうございます!!

 

 ブログ記事が長くなってしまいましたが、昨日のイベントはまだ書き足りないくらい、多くの学びがあり、出会いがあり、繋がりもありました。

 

 インリバが主催のイベントは初めてのことで、進行に手間取ったり、大人数の前でうまく話せなかったり、グループワークの形式を急遽変更するなど、参加して下さった方々にご迷惑をかけてしまったり、至らないこともたくさんあったのではないかと思います。

 

 でも、会場を提供して下さったサイボウズの渡辺さん、ゲストで参加して下さった吉祥さんをはじめ、会場の準備を手伝って下さったり、受付を担当して下さった方々、そして、参加して下さった皆様の力をたくさんいただき、このイベントを無事に終了することができました。

 本当に、ありがとうございます!!

 

 また、こういう機会を作っていきたいなあと思っています。

今後ともインリバをよろしくお願いします。

 

 

 

 

イベントのお知らせ

 

 こんにちは。インリバのサクラです。

 

 11月10日(日)に

『子供は親を選べない ~虐待の家に生まれて~』というテーマでイベントをします。

 

 

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 ゲストとして、DV加害者プログラムを運営するアウェアの吉祥眞佐緒さんが来て下さいます。

 

 トークやグループワーク、交流会など、内容盛りだくさんのイベントになると思います。

 

 また、長谷川美祈さんの写真展『Internal Notebook』も同時開催されます!

 

 既にお申し込みして下さっている方々、ありがとうございます!

一緒に虐待について考える時間になれば嬉しいです。

 

 お申し込みは、まだまだ受け付けています。

たくさんの方々のご参加お待ちしております!

どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

活動報告です。

 

 こんにちは。インリバのサクラです。

 

 少し前の話になりますが、9月20日(金)、都内の弁護士会館に行ってきました。

 

 『虐待の後遺症とどう向き合うか?』というテーマで、

児相などの支援がなくなる18~19歳の高齢児童と関わることが多い弁護士の方々にお話させていただきました。

 

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・虐待を受け、成人以降どのような苦労があるか?

・人間不信をどのように解消していったらいいのか?

・自分の気持ちとの折り合いの付け方は? 

・前を向いて生きていけるようになるにはどうしたらよいか?

などを、生い立ちに交えて話をしてほしいとのことでしたが、

私(サクラ)は、これがなかなか難しかったです。

 現在進行形で向き合っている内容が多いので、「こうするといいですよ!」と断言できず、試行錯誤している姿を見ていただいた感じになったのではないかと思います。

 

 今回は、約20名の方々が参加して下さっていました。

私達の話を聞いて下さっている時の表情や、質疑応答でのやり取りを通じて、参加して下さった方々が、子供達と真剣に向き合っていらっしゃることが伝わってきて、胸が熱くなりました。

 

 限られた時間ではありましたが、とても有意義な集まりになったと思います。

参加して下さった方々、本当にありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりの活動報告です。

 

 こんにちは。インリバのサクラです。

 

 5月13日(月)に、埼玉県立精神保健福祉センターにて、講義をさせていただきました。

 

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 精神保健福祉センター、精神医療センターの職員の方々が対象の研修で、

「虐待を受けた子どもが大人になって思う事」をテーマにお話させていただきました。

 

 予定では、参加者は20~30名とのことでしたが...。

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 実際には57名の方々が参加して下さっていて、医師、看護師、コメディカルの方々が多かったです。

 

 インリバとしては約半年ぶりの活動で緊張しましたが、メンバーがそれぞれの生い立ちや、受けた虐待について、大人になってから抱えていること、思うことなどを

お話させていただきました。

 

 

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 参加者の方々が、講義後にアンケートに回答して下さっていました。

『虐待を経験した人の話を聞くのは初めてのことでした』という方が多かったですね。 

 参加して下さった方々の中には、実際に虐待を受けた子どもや、過去に虐待を受けた経験のある大人と関わる機会がある方もいらっしゃいましたが、仕事の特性上、関わる期間は短期になるケースが多いそうです。

 

 限られた時間の中で、自分の経験しかお話できませんが、私達の生い立ちから大人になった今までの話を通して、何かを感じていただければ嬉しく思います。

 

 今回の講義を企画して下さった埼玉県立精神保健福祉センター、相談自殺対策担当者様、お忙しい中で講義に参加して下さった参加者の皆様、本当にありがとうございました。


 

インリバ通信2号 長谷川美祈さん×インリバ対談全文(その3)

-------今後の展望をお聞かせ下さい。写真集の第2段などあったりしますか?

長谷川:いま、2つ同時進行してます。ひとつは去年から取り組んでいるもので、養護施設を訪問した時に職員さんに、虐待もだけど養子縁組も取り上げてほしいと言われて。最初はピンと来てなかったんだけど…。
職員さんが『施設で育つということはそれで良かった人ももちろんいるんだけど、家庭を知らないで育つという側面もあってこれでいいのだろうかと思うことがある』と仰ってて。
例えば施設の子が、週末普通のおうちに泊まらせてもらうことがある。その子が施設に帰って来たときに『おじさんがパジャマを着てハミガキをしていて髪がボサボサだった』って報告してきたと。
サクラ:特別なことのように写るってこと?
長谷川:そう。職員さんってちゃんとした服を着て、朝来て夜帰っていくから、それがその子にとって普通だった。大人がボサボサ頭でパジャマを着る姿を見て驚いたんですよね。あと、夜に買い物行くことになって施設の子たちも車に乗ったら車の中真っ暗っていうのを知らなくて大パニックになった。門限とかあって夜出かけることがないから。そんなことも今まで経験しないできた子達が18歳でイキナリ世間にぽんと出されて・・・
サクラ:やっていけるわけがない…
長谷川:だから、家庭で育つことができる養子縁組を推進したいんだって言ってました。それを調べたいなと思って取材を始め特別養子縁組をしたご家族のインタビューを6家族くらいして。
そうすると多いのは不妊治療したご夫婦。諦めた末に赤ちゃんからの縁組みを知り調べる…。病気で産めない人もいるけど、不妊治療がついてくるパターンが多い。
次に不妊治療について調べたら体外受精もあれば人工授精や代理母だとか色々種類がある。次々と調べる事が増えていく。
疑問が沸いてきて。生むこと生まれること、 科学的にも選択肢は増えているけれど命に対する議論がされてない。子供の権利を日本全体で考えが及んでいない。
命の倫理を日本社会はどう考えていこうとしてるのか。育った子供たちは知る権利もないという事が起こっているから、そこを掘り下げていこうと。
ヤマダ:虐待もそうだけど取材を進めるのが難しそうですね。
長谷川:養子縁組はまだ真実告知があるから取材もできるけど、人口受精で精子の提供者が非配偶者の場合は子供にそのことを言ってない。その子供は大人になって気づき、早くに知りたかったと言っていたり。その辺りもあまり議論もされていないので表に出していきたい。
もうひとつは性暴力・DV・虐待などのトラウマを抱える方の自助グループ Thriveの方たちに協力して頂いて取材をしてます。性被害の場合、当事者が発信した時に社会的なバッシングが強かったりセカンドレイプが多いから、そこもクローズアップできたらと。
『internal notebook』の方はもっと広めるための活動、写真展などの活動をしていこうと思っています。写真集が出たあとに何人かメッセージをもらっていて。第二段を出すのか展示だけをやるのかわからないけど、話したい人がいるなら聞いて。写真集出たから終わりじゃなくて、発信は続けていかないと。
橋本:長谷川さんって海外の社会福祉の仕組みとか知ってると思うんですけど、日本でいま、虐待問題に対して足らない部分とかこういうのが必要なんじゃないかってのがあれば教えて欲しいです。
長谷川:そんなに詳しい訳ではないですが、専門家が少ない。児童心理をちゃんと学んでる人も少なければ虐待というものに対してどう動くのが適切かという見通しをつけられる人が少ないように思います。
サクラ:だから一回親から子を引き離したけどすぐ返したり。
長谷川:ちゃんと研究していろんなケースをみてる人だと返さないだろうに、返しちゃうのは経験不足もあれば判断できる人が少ないからかな。後、情報の共有がうまくいっていないようにも思えます。
橋本:海外と日本で決定的に違うと思ったことは?
長谷川:子供に対する人権的な考えが違うかな。日本は子供は親のもの。子供を一人の人として尊重していないんですよね。今少しずつ変わってきていますが。
ヤマダ:それは自分が子供を育ててて思うんですよ。すごく難しい。しつけって親の思い通りにさせたいってのが出てきちゃう。
長谷川:うん出る。私も出るし。
ヤマダ:行きすぎると虐待になっちゃうし。だからといってなにもかも自由にさせていいのか、人としてけじめのない人になっちゃうっていう気持ちもある。それは日本がそういう考えだから私たちもそういう考えになっちゃってるんですか?
長谷川:そうかもしれないですね。海外は子供を子供として見てなくて一人の人としてみている感じがします。
例えば日本だと『子供は知らなくていいよ』とかあるじゃない。その辺が子供とはいえ、選択する権利、考える権利がある。
ヤマダ:性教育も、日本だとまだいいみたいなのがありますよね。
長谷川:逆にそれを教えると性の方に走っちゃうみたいな考えだよね。
ヤマダ:そのスタンスが人権を守ってる事になるのなら私は大丈夫だって安心しました。嘘つきたくないから、こないだも聞かれたから答えたし。
橋本:虐待してしまう親に対するケアは海外は進んでるって聞いたんですけど。
長谷川:虐待してしまった親にもケアのプログラムがきちんとあるんですよね。通告があったら児童相談所みたいな所と、警察と弁護士がちゃんと付く。親と子を引き離す場合、裁判所が関与するそうです。親にも、子にも双方に弁護士がつくそうです。
橋本:裁判所が公平に判定するんですね。
長谷川:日本でも2016年の法改正で児童相談所に弁護士の配置が義務づけされました。
ヤマダ:児童相談所には児童心理司がいるのに何で今まで弁護士がいなかったのか逆に不思議ですよね。(※弁護士と連携を以前からしていた一部の児童相談所もある。)もっと増えてほしい。
長谷川:ベルギーの友人に聞きましたが、日本でいう週末里親みたいな、夏休みだけ遊びに来る子供がいるのも、肌の色が違う家族がいるのも当たり前。日本だと血縁を重視するところが独特。親は大切にしなきゃいけないとか。
サクラ:仕事で接した高齢者の方が『私たちの時代は親に逆らうなんてできなかった。口答えなんかしたこともなかったわよ。でもね、私その時代に生まれあの親のもとに生まれ育ててもらって有りがたかった』って言ってて。こういう思考の人がいるから私たちのやってることも否定されるのかなって思いました。
橋本:昔は親が絶対っていう風潮があって、どっかでおかしくなって虐待っていう風に歪んでいったんじゃないかな。
サクラ:そういう人からみたら私のされた事を見ても『あなたのためを思ってしたよ』って言いそう。
橋本:それは戦争中生きてた人と戦後生きてきた人とが分かり合えるわけがないのと同じで。口論するべきじゃないよね。
ヤマダ:幼少期から『親には感謝しなさい』と教育されてきた子供達に『親は自分が生みたくて生んでるんだし親が子供を育てるのは義務だから親に感謝なんかしなくていいから』って、とある中高一貫校の先生が授業で言ってるらしいんです。それってスゴく大事だと思ってて。1/2成人式とか嫌なのね。
長谷川:やだやだ。強要することじゃない。
ヤマダ:そういうのって本当にもっともっと大人になって…なんなら40代で親に感謝してるかっていったら…してる部分もあればそうじゃない部分も大きいよっていう回答しかでない。
橋本:じゃあ何に感謝するのかを言っていかないとね、言うなら言うで。ただ親には感謝しろって言うだけじゃね。
ヤマダ:親ってだけでえらいわけじゃないし子供は親を選べませんからね。

-------貴重な話ありがとうございました。
(2018年8月某日 都内にて)

インリバ通信2号 長谷川美祈さん×インリバ対談全文(その2)

--------写真集に出た3人が当事者グループとして活動することになったと聞いてどう思いましたか?

長谷川:嬉しかった。すっごい嬉しい。
ヤマダ:私ね、怖かったんですよ。虐待当事者の人と会うことが初めてだったから。写真展でサクラさんを紹介された時、私ちょっと挙動不審じゃなかった?
サクラ:いや、そんなことは思わなかった。
ヤマダ:ほんとに?『目、合わせられへん』と思って、結構きょろきょろしてて...。でもちょっと話したら『あ、話しやすい』って。
サクラ:ああ、でもね、『人見知りするんかな』とは思った。明るいけど。自分も人見知りはするから。
ヤマダ:うん、ちょっとする。りゅーさんとはね、最初はとある勉強会で会って、話したいと思ったけどあんまり話さなかったね。名刺交換だけして。その後、虐待の講演会で会って。
橋本:サクラのことは知ってたんだよね。もともとTwitterでやり取りしてた。今思うと。
ヤマダ:最初ちょっとこわかったけど、話したら『何かを発信したい』っていう3人だったんだよね。何かやりたいねっていう話になって。
長谷川:バランスはいいなあって。いい3人だなあって。
橋本:今となっては、インリバってすっかり馴染んだよね。
ヤマダ:最初は『インリバって言いづらいなあ』って思ってたんだけど(笑)
『internal』は長谷川さんの写真集『internal notebook』から来てる。それはやっぱり3人がそれで出会ったから入れたいねって入れたんですよ
橋本:写真集から始まってますからね。
ヤマダ:何か、私達の活動に期待したいことってあります?
長谷川:当事者の人達が発信するっていうことで、リアルな話を社会に投げかけることができる。自分だけが虐待を受けているんだとか、こんな思いをしているのは自分だけだって思いがちで...。実際にいま辛い思いをしている人達にとって当事者の人が発信することは『ひとりじゃない』って思える。
更にこうやって発信する方法もある、発信してもいいんだってことを実感できるんじゃないかなあって。『自分を表現しちゃいけない』と思いながら生きてきてる人達が、発信する人がいると知ると、表現していいんだって思えるから、すごく意味のある活動だと思う。
サクラ:言いたくない人に無理して口を開けてっことはもちろんないんですけど、『言いたいけど言えない雰囲気、風潮』みたいなのを肌で感じていて。言いたい人は言う、言いたくない人は内に秘めてていい。気持ちが変わって言いたくなったら言えばいいし。経験したことを言ってるから偉いでしょっていうつもりは全然なくて。どうしても全体的にみたら少数派が受け入れられないから、色んな人がいていい、自分で決められるっていうことがもっと広まったらいいなあって思います。
長谷川:そうですね。発信してもいいし、しなくてもいいし。言葉じゃない方法でやってもいいし、選択肢がいっぱいあるということを、この3人は表せるのかなって。カナンさんは漫画でやったりしてるし、隆生さんはどんどん出て行って、サクラさんはちょっと控えめ。それぞれがそれぞれのやり方で発信や表現しようとしてる。虐待当事者が3人を見ると『あ、この選択肢はいいかも?』って思うかもしれない。
写真集に出てくれた方で絵の個展をしようとしたり、作曲をしたり歌ったりしていて。自分のやりたいことを表現していいんだ、やっても否定されないし、それをいいと思って取り上げる人がいるんだと、もしかしたら写真集に出たことで思えたのかなって。一歩になったのかな。
サクラ:私は、写真集はすごい大きなきっかけになっていると思います。
ヤマダ:私は漫画を描いててふと『こんなの描いても意味ない』 『こんなの誰が読んでくれるんだろう』って思う事があるんですが、そういうのありません?作ってる途中で。
長谷川:あるある。なんでこんなつらい話を世の中に出す必要があるんだろうとか、これ意味あるのかなあ?はあった。ちゃんと理解しようとしてくれる人がどれぐらいいるんだろうとか。出てくれた人達の何かになるんだろうかとか。
ヤマダ:でも長い目で見たら色々プラスになって出会いもあったりとかね。
長谷川:出会いがあったのは一番嬉しかった。出てくれた人同士でつながったっていうのが、すごく一番嬉しい。
ヤマダ:サクラさんとりゅーさんの2人は長谷川さんに言われて救われた言葉ってあった?
サクラ:それね、考えてみたんやけど、多分いっぱいあるんよ、ほんとは。
長谷川:私、多分ほとんど喋ってない。ずっとただ聞いてるくらいで。
サクラ:それもあるかもしれない。 インタビューの時、自分の話をすごい聞いてもらって...。でもその聞いてくれる姿勢が安心できた。あそこで自分の話を受け止めてくれた、長谷川さんがいなかったら、多分自分は今こういう活動はできていないと思う。長谷川さんと出会ったことは大きい。
橋本:虐待っていう事柄を客観的に見て意見をしてくれたっていうか。例えば自分自身がやってることを長谷川さんが『それはすごく意味があることだよ』って言ってくれた。救われたって言えばそれなのかな。
より表現の自由っていうか、それがテレビという手段なのかもしれないし、新聞という手段なのかもしれないし、長谷川さんは写真という手段で。そういう色んな手段をもっと柔軟に考えた方がいいなっていうのはすごく思った。写真集だからこそ、写真集じゃなければなかった反応はあると思うし、だからそういうのは本当に勉強になりました。長谷川さんとの出会いは、救いというよりは勉強になった。ありがたいです。
長谷川:こちらこそ。カナンさんの時は、結構カナンさんが質問してくるから私も喋ったね。
ヤマダ:そうそう、私が対話をしたい人だから。
私は、『虐待があったから漫画家になれた』って思考があったんだけど、長谷川さんに『虐待がなくても漫画家になってたよ』って言われたのが、すごく救われた。そうだそうだ、虐待の前から漫画は好きだったよって、なんでそれが抜け落ちてたんだろうって思って。
虐待の話をすると反応が『つらいね』『かわいそう』っていう同情もあれば、『でも漫画家として頑張ってえらいね』っていう反応もあり色々なんだけど、長谷川さんは本当にただ受け止めるみたいな印象があって。だから傾聴の大事さみたいなのをすごく感じたんですよ。傷が癒されないのは、ひとりでずっと考えるだけだったから。人に聞いてもらったり、もちろん自分が人に話すことも大事なんだなって。そういうの全然なかったので。
長谷川:写真で表現するっていう場合、当事者の人がいないと成り立たないからほとんど喋ることはなく、ずーっと聞かしてもらってた。ちょっと相づちうったりとか、気になったことを聞くくらい。特に話しにくいことを話してもらってる訳だし、そこに自分の感情は入れないというか、とにかく教えてもらおうと。生まれてから今までの全部を教えてもらおうと思ってた。気づくと結構時間が経ってて5時間とか。話した後に反動はあったのかな?隆生さんはあんまりなさそう。
橋本:全くない。
ヤマダ:私は『母になるのがおそろしい』の構想から不安定になってたから長谷川さんの写真集がどうというのではなく。蓋をしていたものを開けちゃった。そこから虐待問題に取り組み始めたところはあって...。でもインリバで活動を始めて語ったりするようになって最近安定してきたなって。やっぱりくさいものに蓋をしてたら何かのきっかけで出ちゃいますね。それがたまたま自分が子供を産んで本を出して、長谷川さんと会って…、ぎゅっと詰まった1年だった。
サクラ:私も取材の後の反動はなかった。何かを話したり発信するブログを始めた頃のやさぐれから、虐待をしていた親に対する見方とか、客観視できるようにはなってきたのかな?段々変わってきてる、自分の変化はすごく感じる。長谷川さん云々じゃないけど、そこをきっかけに色々事が進んで行ってインリバとして活動を始めて。
先日、学生さんを対象に講義をやった時に、初めて母親からガムテープで口を塞がれたトラウマの話をしたんですよ。取材やブログではあったけど、ある程度の人数の前で話をしたのは初めてで『大丈夫かな?』って思いながらもまあ何とか話せて。感想を寄せてくれてた学生さんの中で、『やったことはひどいけど、おかあさんはサクラさんのことを殺そうと思ってやったわけではないんだなって思いました』っていう文章があって。
昔の自分だったら『そんなこと言ったって、殺されかけたものは殺されかけたんだよ』って、その感想を言ってきた人にもカチンと来てたんですよ。でも『頭が真っ白になったからといって虐待してしまう心理は私には分からないけど、でも悪気は本当になかったんだろうな』とは思えるようにはなってきた。だいぶ変わってきてるかな。かと言って許しはしませんけどっていう感じで。でも、『許さない』でも長谷川さんの取材を受けた頃と今とではちょっと違うかな。

長谷川:取材の頃は怒りがすごい、怒りのかたまりっていう感じだった。
サクラ:(怒りを)出してたと思う。だって人生終わったって思ってましたもん。日常生活すらあやふやでこれからどうやって生きていくんだろうって当時は思ってたので。
長谷川:怒り、カナンさんは少しあったかな。隆生さんは全然。すごい自分のことを客観視してて。
ヤマダ:そうそう、客観視し過ぎてて、第一印象が出来すぎな人っていう。でも最近印象変わってきた。
橋本:ああ、そう?良く変わったの?
ヤマダ:結構突っ走るよね。熱血だよね。
橋本:根は熱血だよ。
サクラ:2人に比べて、私は虐待に向き合い始めたのが遅かったから。これからもうちょっと時間が経てばまた自分も変わっていくんかなあって、もうちょっと冷静になれるんかなあとか、2人を見てたら思う時があります。
ヤマダ:でも私も何だかんだ遅かったよ。漫画ではガス抜きしてたけど、実際に取り組み始めたのは『母になるのが...』からだから。りゅーさんが1番早い。
長谷川:カナンさんは結構あれよね、浮き沈みというか不安定な時といい時と結構差が...。
ヤマダ:はい(笑)子供を生んで親の立場を知ったからこそ自分の親を許せなくなった気持ちが強くなったから、それも自分を振り返るきっかけになったんだけど。
橋本:おもしろいね、それね。真逆だもんね。
ヤマダ:りゅーさんは『親も大変だったんだな』って。私は『何であんなことできたんだ?』って逆に腹が立ってきたっていうね。
サクラ:自分の子供にそんなことできないって?
ヤマダ:いや、できなくはない。カッとすることはあるんだけど、だからってひどいことはしないようにする理性が働く。そこも三者三様だよね。インリバの。許す、許さないも。

インリバ通信2号 長谷川美祈さん×インリバ対談全文(その1)

イベントでお配りしたインリバ通信2号に載せた写真家の長谷川美祈さんとの対談は抜粋でしたので、こちらに全文掲載します。


----------最初の質問ですが、虐待の写真集『internal notebook』を作ったきっかけを教えて下さい。
長谷川:まず、自分が虐待しちゃうんじゃないかなというのがあって、だから虐待っていうものを知りたいって思いました。虐待してしまうお母さん達がただの悪い人で母性がないってセンセーショナルに報道されて終わっていくのが解せなくて。ただの変な人じゃないし誰でもあり得るだろうと思ったので。
それで、虐待を受けた人達がその後どうなるかの議論もないし『何とかならないかな』と思ったのがきっかけです。
橋本:実際作ってみてどうでした?自分自身の感想は?
長谷川:最初は、自分が虐待しちゃうかも?っていう私自身の心情も入れた写真集にしていて。だけど写真集に出てくれた当事者の方々と話した時に、実際に虐待を受けた方々の話の方が大事だし、そこに『やってしまうかも?』という自分の感情を入れてもしょうがない、どうでもいいわって思ってバッサリやめて方向転換しました。
当事者の声って社会に広まってないし、それを聞こうとする人もあんまりいないから、そっちの方が大事だなって。自分の中での虐待問題への接し方や考え方も変わったと思います。
虐待をやらないで済んだ人と、やってしまった人との差は結構大きくて、何が違ったのかを追求できるものにしたいと思いました。
虐待を受けてしまった人が大人になっても苦しんでることはほとんど知られていないので、そこを全て載せられるようにしたかったのもあります。
---------周りの反響はどうでしたか。
長谷川:写真集ができた時に一番怖かったのが、写真集に参加してくれた人がバッシングされることでした。『そんなわけない』とか、『うそじゃないか』という人もいるだろうし、『そんなの虐待じゃない』という人も現れてくるかもしれない。
参加してくれている人に危害が出るということは避けたかったから、それがないように作ろうって思っていましたけど、本当にあったことを変えたり、話してもらったお話の言い回しも変えたくなかったです。意訳すると嘘っぽさが出るからなるべくそのままにして...。
橋本:バッシング的なことはなかったですか。
長谷川:悪く言う人がいなかったのが意外でもあり嬉しくもあり...。絶対でてくるだろうなと思っていましたけど。いい言葉も悪い言葉も両方載せて。カナンさんは『お母さんがこれをしてくれたのは嬉しかった』とも言っていたからそれも載せて...。
橋本:万が一バッシングがあったとしても、それが縮図なのかもしれないですね。世間と自分達のギャップ、壁。あったらあったで、それは受け止めなきゃいけなかったのかもしれないけど。
サクラ:写真集は英語の文章も載せ、ドイツとかフランスとか色んな国の方が見てくれましたが、長谷川さんの印象的には世界各国と日本とで反応の違いみたいなものはありましたか?
長谷川:海外の方が社会的な問題と写真との結びつきが元々あるから理解は早かったです。写真集をじっくり3時間見たってメールが来たり、ちゃんと反応を返してくれる人が多くて。日本だと最後まで見られなくなる人が多かったですね。
ヤマダ:それは虐待とか全然関係ない人が見られなくなっちゃうってことですか?辛くなって。
長谷川:そうですね。『当事者の方は見なくていいですよ』って声かけたりとかもしてたけど、当事者の方は『大丈夫です』ってしっかり見てくれる人が多かったです。あまり虐待について考えないで来た方は『パラパラパラー』と軽くめくってしまう。
サクラ:ピンと来ないですよね。多分。
長谷川さんの写真集って、見る人がみたら色々考えさせられるけど、そういうところにアンテナがない方は『何かの風景だな』ってパパってめくって終わるような作りになってるじゃないですか。だから、見ることが進められないっていうのは...ある程度何かは感じ取ってくれてるのかも。
長谷川:何となく目を塞ぐというか、深く入ろうとしないのが日本の特徴的なところは見て取れるかなと。
橋本:関心ないんですかねー?怖いとか。
サクラ:どう関わっていいか分からないのか、逆に自分の発言によって相手を更に傷つけるんじゃないかとか思っている人もいるかもしれない。
長谷川:今回の写真集ですごく勉強になったことがあって。だいたい写真集って写真関係でイベントやって、写真集売って、展示して、写真関係の人が見に来て終わるっていう流れが多いです。でも今回はちょうど虐待防止月間に展示したというのもあり、杉山春さん(ルポライター)と一緒に呼んでもらえました。
講演会に来てくれた人は写真関係じゃないし、支援者や虐待に何かしら関わっている人達。写真集には興味を持たないんじゃないかな?写真の話よりも杉山春さんのお話が聞きたいのだろうと思っていたのですが、講演が終わった後に『写真集を買いたい』という人が5~6人来てくれて...。1冊13,000円なのね。手作りだから高いし、簡単に買えるものじゃない。
橋本:覚悟を決めないと買えないものですよね。
長谷川:それなのに、5~6人いたのがすごく嬉しかったです。と同時に写真関係の中でだけやっていては駄目だったんだなと気付きました。
きちんと説明すれば興味を持つ人が世の中にいっぱいいるとその時に感じて。
今までのやり方がいけなかったと反省しました。きちんと世の中に発信すれば反応する人はいるんだと実感できました。

---------この写真集がきっかけでインリバ3人は出会って、グループを結成しました。3人の第一印象を教えてください。

長谷川:まず隆生さんが一番最初。
写真展を開催したギャラリー、Reminders Photography Strongholdのキュレーターさんが色々と相談に乗ってくれていたのですが、『当事者の方と会って話すことになった』と報告したら『一応気をつけて』って。
橋本:それはそうですよね。男だし。しかも、会う段取りが気持ち悪いくらいすんなりと進みましたからね。
ヤマダ:ブログを見てたんですよね。何となく人柄が分かった上でっていう?
長谷川:うん。それもあって私の中では不安は全くなくて。会った時もぱっと見穏やかだしお話も緊張感なく...。カフェみたいなところでしたし。
隆生さんだけ、私、録音とってないんですよね。私も初めてだったからいきなり録音するのも悪いなあと思って。あとでブログとメモを見ながら書き起こしましたね。その2ヶ月後に一緒に栃木に行ったり。
橋本:宇都宮で待ち合わせして、車借りて...。会って間もない人ですよ。今思うとすごいですよね。
ヤマダ:りゅーさんもなかったの?長谷川さんに対して警戒心みたいなの。
橋本:ないないない。虐待問題を発信する手段としてブログを書いてたけど、それ以外の方法が分からなかったので、写真って依頼が来たときにおもしろいなって思った。だからポジティブに、これは自分には出ない発想だからすぐ乗りました。
長谷川:隆生さんで始まって上手くいったことが次に続いていった。第一歩です、本当に。

-------次はヤマダの第一印象をお願いします

長谷川:カナンさんの方から連絡をくれたすごく珍しい出会いでした。
ヤマダ:私がちょうど『母になるのがおそろしい』を出してすぐだったから、虐待に関する何かをやりたいって思ったときにネットで見かけてメールしたんですよ。そしたらすぐ返事が来て。
橋本:願ったり叶ったりですよね。 長谷川さん、困ってたからね。協力者がいないって。だから『誰かいたら紹介しますね』って感じだったんですよね。
長谷川:そう(笑) だから、カナンさんも結構トントン拍子でしたよね。漫画を先に読んでから会って。 漫画家さんっていうのも会ったことなかったし(笑)
ヤマダ:いきなり虐待の話をしたんじゃなく、待ち合わせて少しお茶してから一緒に『月光』観ましたよね。(性虐待テーマの映画で2017年公開。小澤雅人監督作品。)
長谷川:うん。後日お家に行って...。2時間くらい話した。で、結構きわどいことをズケズケ言ってた(笑)そもそも虐待を受けてきたお話を聞いてるんだけど、自分が手をあげちゃうとか、旦那さんとやり合うとかも自然にお話してきてくれたから...。
ヤマダ:虐待を受けた人が経験を語るっていうよりは、虐待をしてしまう人に話を聞きたいみたいなのが確かホームページに書いてあったんですよ。だからそっちの話もするかみたいな感じだったはず。本が出来上がってみれば、意外に自分が叩いちゃったって人があんまりいないっていう。ほとんどみんなお子さんがいない方だから。
長谷川:子供を作りたくないって言う方が多かったですね。だから、カナンさんがいてくれたのは本の構成としても良かった。
その後も付き合いが続くんだろうなって感じました。今回出てくれた方みんな、取材して終わりじゃなくてその後もつながって...。

-------次はサクラの第一印象をお願いします

長谷川:サクラさんは、ちょっと会うのが心配でしたね。本人も心配だったと思うんですけど(笑) ちょうど東京に来るので会うことになって。ドタキャンされる覚悟はありました。今ね、こんな感じですけど会った時かなり細かった。顔が全然違います。
サクラ:最初はブログにコメントを寄せてくれて、それに返事して、メールでのやり取りを始めましたよね。その頃は摂食障害もあって、歩くのもまっすぐ歩けなくてフラフラしてました。40キロなかったと思う。
長谷川:インタビューの時は出なかったけど、多重人格も抱えてる状態でしたよね。
人格が3人いて、誰が話すことになるのか当日になるまで分からないと臨みました。
サクラ:私はそれまでは某テレビ局がやってる虐待の掲示板に投稿してました。『こんなことされててつらい』とか言いっ放しで終わり?みたいなのが私には物足りなくて。もちろんそういう場も必要だとは思うんですけど...。もっと発信して新たなつながりが欲しいと思ってブログを始めて...。
『取材をさせて欲しい』っていう依頼を長谷川さんからもらえて、『ああ、(ブログを)やってて良かった』やっと話しても大丈夫って。私、人に対するストライクゾーンが狭いけど、長谷川さんには自分の思ってることを喋っても多分大丈夫だなって。
ヤマダ:会う前に思って?
サクラ:最初の『取材をさせて下さい』っていうメールから人柄が伝わってきた。『この人、マジな人やな』、興味本位で聞いてるだけじゃなくて真剣に考えてくれてる人やなっていうのはすごく感じました。
橋本:ホームページあったじゃないですか。
あれもまた良かったですよね。真剣にやってる人なんだなって思った。
ヤマダ:私もあんまり警戒心なく会ったのは、やっぱりホームページ見てたっていうのもあって。大学の講義で質問されて気付いた、3人の共通点が『人を信じられない』なんだけど、そんな3人が長谷川さんをいきなり信じた...
橋本:とりあえず来るもの拒まずで、その後『ん?』ってなるタイプもいて。受け入れるだけ受け入れて『あいつちょっとあやしい』ってなったら距離を置くタイプかな、オレ。最初から警戒する人もいるし。
長谷川:写真集に出てくれている方は警戒はなかったかな。
隆生さんのあと、3か月位停滞してその間に虐待の電話相談の活動をした後に、もう一度探してみようと思って動き出したら、サクラさんと出会ってその後にカナンさんから連絡が来てって感じでそこからとんとん拍子で続いていきました。

--------------構想からはどれ位かかりましたか?

長谷川:3年です。(苦笑)当事者の方が見つからず、虐待事件の現場の写真を撮って2年近く経ってしまって、これ無理なんだろうなぁと思っていた。でもインタビューが始まったらあっという間でした。
タイミングもあるし、やっぱり自分の中で虐待の勉強や取り組み方とか話を聞くってどういうことか?などの勉強を積んだ時にうまくアプローチができるようになったのか・・・機が熟したみたいなね(笑)